めまいや立ちくらみ、疲れやすいなど、貧血っぽい症状があるのに病院の血液検査や健康診断では「異常なし」と出る。
そんな時は、血が足りていない「血虚」の可能性があります。
血虚の症状、貧血との違い、予防・改善方法などをお伝えします。
目次
貧血と血虚の違い
貧血とは
貧血は、一般的な血液検査では血液中のヘモグロビン(Hb)の数値で診断されます。
このヘモグロビンが、男性なら13 g/dl、女性は12 g/dl未満だと貧血と診断されます。
ヘモグロビンは血液中の赤血球の主要成分で、血の赤い色をつくる色素です。
全身に酸素を運ぶ重要な働きをしてるため、この濃度が減少すると血液が運べる酸素量も減りってしまい、全身が酸素不足になる「貧血」という状態になります。
貧血の原因と症状
貧血の最も多い原因としては鉄分の欠乏です。
7~9割は鉄分不足が貧血の原因とされています。
偏った食事やダイエット、妊娠・出産や授乳、生理などで血液や鉄分が不足することで起こります。
貧血の症状としては動悸、息切れ、倦怠感、頭痛、めまい、立ちくらみ、爪の異常などです。
ちなみに最近増えている「隠れ貧血」というのもあります。
鉄分のうち、約3分の2はヘモグロビンに存在します。
そして残りの鉄分は血液中の「フェリチン」に存在し、いざというときのために鉄分を貯蔵しています。
ヘモグロビン値が正常でも、フェリチン値が減少すると鉄分不足になり隠れ貧血となります。
健康診断や一般的な血液検査ではフェリチンの値までは検査しないため、発見が遅れることもあるようです。
血虚とは
これに対して血虚は、東洋医学の言葉になります。
血液検査をしても数値に異常なしと出る、でも調子が悪いという多くの人は、この血虚の可能性があります。
「血虚」は「血がたりない」という状態。
貧血と違うのは、個々の体に対して血が十分にない状態を示しています。
血虚は、数値的に鉄やヘモグロビンが正常だったしても、きちんと働く元気な血が足りていない状態とも言えます。
東洋医学で言う「血」は全身を巡り、臓腑・器官に潤いと栄養を与え、精神活動の基本物質でもあります。
血虚の原因と症状
血虚の状態は、血の滋養・滋潤作用の低下や、精神の不安定を招きます。
そのため次のような症状が代表的です。
・顔色が青白い
・皮膚が乾燥する、かゆみ
・手足の冷え、しびれ
・疲れやすい
・爪や髪がもろくなる
・眼精疲労
・めまい、立ちくらみがする
・筋肉痙攣、足がつる
・生理不順(遅れ気味)
・生理痛(生理が始まってから痛む)
・不眠、頻繁に起きる
・不安感が強い
血虚の主な原因は「血をつくる機能の低下」または「血をつくる材料の不足」です。
・血の材料となる食べ物の不足(鉄分とは限りません!)
・胃腸の機能低下から消化吸収力が弱くなっている
・血を貯蔵する肝が弱っている
などが考えられます。
血虚の予防・改善方法
血虚の原因から考えると、予防や改善方法は「食べ物」「胃腸・肝をいたわる」そしてもう一つ、睡眠も重要になります。
①血を補う・造血作用のある食べ物
日々何を食べるかは、私達の体に大きく影響します。
また、エネルギーをしっかり摂らないと血もつくられないため、お米や葉野菜、根菜類、魚、肉、果物などバランス良く食べることは基本ですが、血虚になりがちな方は以下の食材を多めにとるように意識してみましょう。
【血を補う、造血作用のある食べ物】
なつめ、ぶどう、レンコン、大豆、タチウオ、鶏肉、卵
鉄欠乏性の貧血と違い、血虚=鉄分!というよりは、上記のような血の素となる食べ物や、造血作用のある食べ物もとることが大切です。
また、水分も不足しないよう、適度に水分補給もするようにしましょう。
②肝や胃腸をいたわる
胃腸で食べたものをエネルギーに変え、血がつくられます。
その根幹となる胃腸機能が弱っていると、栄養バランスを考えて食事をしていても、うまく血をつくることができません。
また、肝は血を貯蔵する役割を持っているため、血虚とも大きな関わりを持っています。
食べ物からのアプローチとしては、下記の食べ物が有効です。
【胃腸の機能を高める食べ物】
お米、にんじん、ゆりね、さつまいも、さといも、じゃがいも、やまいも、きゃべつ、しいたけ、牛肉
【肝の機能を高める食べ物】
ゴマ、クコの実、アワビ、ニラ など
また、内臓の負担になるような以下のことにも注意しましょう。
・暴飲暴食しない
・脂っこいものや粗い食物繊維の多いものは控えめに
・よく噛んで食べる
・冷えたものや夏野菜、生ものは控えめに。
・水のとり過ぎも負担なので、常温や温かいものを少しずつとる
・香辛料が多く激辛のものはほどほどに
そして、肝は有害物質やストレスにより発生した老廃物を分解・排泄して体を守る役割を持っています。
ストレスによって負担がかかりやすい部分になるので、ストレス発散やよけいなストレスをためないようにしましょう。
③睡眠
東洋医学では睡眠は「陰血」を補う重用なポイントと考えます。
睡眠不足だと顔色が悪くなったり、肌や髪の毛などがボロボロになってくるのも、これに関係しています。
睡眠時間ももちろんですが、睡眠の質を高めることも重要です。
(睡眠時間は長ければ良いというよりは、人によって最適な時間が違います)
ぜひ、睡眠や睡眠環境を見直してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
血液検査で貧血の項目が異常なしとなっていても、「血虚」という状態になっている可能性があります。
東洋医学は、病院の検査で数値に出てこないものでも、その原因を知ることができます。
血虚は、今自覚のある症状が微々たるものであっても、放っておくと大きな病気につながってしまいます。
ぜひ、軽い症状のうちに予防・改善策を実行して、元気な体を手に入れてくださいね!
自分の体は自分で守っていきましょう^^